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お知らせ

令和8年7月の熊本地震で被災された方へ—申告期限、納税猶予、雑損控除について

はじめに

令和8年7月の熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

10年前の平成28年熊本地震のとき、私は雑損控除の申告を50件以上担当しました。生活の立て直しが最優先の時期に税のことまで手が回らないのは当然ですが、今回も適正に税金を取り戻して生活の再建に充てられたい方の支援をしたいと考えています。なるべく分かりやすく、順を追って書きます。

まず、申告・納付の期限について

災害で申告や納付ができない場合、期限の延長を受けられます。

地域指定(熊本県八代市、宇土市、宇城市及び八代郡氷川町)による延長

令和8年7月28日以降に到来する国税の申告・納付等の期限が、全ての税目について、自動的に延長されることとなりました。

なお、申告・納付等の期限をいつまで延長するかについてはまだ指定がありません(令和8年8月31日現在)、今後のアナウンスがあると思います。もちろん申告・納税が出来る方は期限までに行って差し支えありません。

個別に延長申請する方法(「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の提出)

八代市、宇土市、宇城市及び八代郡氷川町以外の地域で、震災により期限内の申告・納付が困難な場合

所轄の税務署に対して申請することにより、申告・納付等の期限の延長を受けることができます。

所轄の税務署に延長の申請をされて下さい。

住宅や家財に被害を受けた場合——2つの方法がある

今回の本題です。確定申告で使える方法が2つあります。

ひとつは所得税法の雑損控除。もうひとつは災害減免法による税額の軽減免除です。どちらか有利な方を選びます。

災害減免法は、損失額が住宅や家財の価額の2分の1以上であることが条件で、かつその年の所得金額が1,000万円以下の方に限られます。所得500万円以下なら全額免除、500万円超750万円以下で2分の1、750万円超1,000万円以下で4分の1の軽減です。

雑損控除は、控除しきれない金額を翌年以後3年間繰り越せます。この繰越があるため、被害が大きい場合は雑損控除の方が有利になることが多いです。10年前の震災で私が扱った案件も、ほとんどが雑損控除でした。

ただし、所得が1,000万円以下で損失額が比較的小さい場合は災害減免法が有利になることもあります。ここは両方試算して比べた方がいい部分です。

雑損控除の計算——損失額の出し方

雑損控除の控除額は、次の2つのうちいずれか多い方です。

・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
・(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

災害関連支出というのは、取り壊しや除去、原状回復のために実際に支出した費用です。領収書が必要になります。10年前に私が扱った案件では、上の損失額ベースになるケースがほとんどでした。

肝心の損失金額は、原則として被害を受ける直前の資産の価額をもとに計算しますが、住宅の主要構造部に損壊があり、個々に損失金額を計算するのが難しい場合は、簡便的な計算方法が認められています。

住宅の場合、取得価額が分かるなら「(取得価額 − 減価償却費)× 被害割合」。取得価額が分からないなら「(1㎡あたりの工事費用 × 総床面積 − 減価償却費)× 被害割合」です。

家財も同じ考え方で、取得価額が分からない場合は家族構成別の評価額に被害割合を掛けます。生活に通常必要な車両も対象になります。

被害割合は、り災証明書が目安になる

被害割合は、全壊・流失・埋没・倒壊であれば100%、半壊で50%、一部損壊で5%です。

この判定の目安になるのが、市町村が発行するり災証明書です。申告の際に添付または提示を求められますので、必ず早めに申請してください。すべての支援制度の入口になります。

損失額の出し方は、ひとつではない

上に書いた合理的計算方法は、あくまで簡便法です。実際の資産価値と乖離するケースも出てきます。

10年前は都心部から不動産鑑定士の方が来られていて、鑑定評価によって損失額を算定するという案件をかなり扱いました。合理的計算方法で出した金額が実態と合わない場合には、こういう選択肢もあります。

一般の方がここまで自分で判断するのは難しいので、気になる場合はご相談下さい。

事業をされている方へ

事業用資産や棚卸資産の被害は、雑損控除の対象外です。事業所得の必要経費に算入します。

損益通算しても引ききれない純損失は、青色申告なら前年に繰り戻して還付を請求するか、翌年以後3年間繰り越せます。白色申告でも、被災事業用資産の損失部分は3年間繰り越せます。

もうひとつ見落としやすいのが消費税です。被害を受けて緊急の設備投資が必要になり、簡易課税から一般課税に変更したい場合、災害がやんだ日から2月以内に申請して承認を受けることで、災害の生じた日の属する課税期間から変更できます。逆に簡易課税を選びたい場合も同様です。期限が短いので注意してください。

自宅兼事務所や、事業でも使っている車の場合は、事業用部分と生活用部分の按分が必要になります。判断が難しいところなので、一度相談していただいた方が早いと思います。

見舞金・義援金について

個人や法人から受け取った見舞金や災害義援金は、社会通念上相当と認められるものであれば、贈与税・所得税の対象にはなりません。

最後に

被災された直後は、税のことまで考える余裕がないと思います。ただ、記録だけは早めに残しておいてください。

被害の状況が分かる写真、り災証明書、災害関連支出の領収書。この3つがあるかどうかで、後から受けられる支援がかなり変わります。

判断に迷う部分があれば、遠慮なくご相談ください。


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