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棚卸資産に振り替えた労務費と賃上げ促進税制(旧:所得拡大促進税制)の関係

はじめに

実務で給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(中小企業者等における賃上げ促進税制(旧:所得拡大促進税制))を適用するのにあたり、棚卸資産(未成工事支出金や仕掛品など)に振り替えた労務費の取り扱いについて疑問が生じたので検討したいと思います。

雇用者給与等支給額と棚卸資産に振り替えた労務費の関係

この税制の詳しい解説は省略しますが、適用要件の一つに以下があります。

 

(雇用者給与等支給額(※1)-比較雇用者給与等支給額(※1))/比較雇用者給与等支給額≧1.5パーセント

 

※1雇用者給与等支給額とは、法人の適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。ただし、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額(国または地方公共団体から受ける雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額(以下「雇用安定助成金額」といいます。)を除きます。)がある場合には、その金額を控除します。

 

※2前事業年度における雇用者給与等支給額をいいます。

 

Q.雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等額には、仕掛品に振り替えた労務費を含めてよいか?

 

A.継続適用を前提に含めてもよい。

 

根拠規定は以下になります。

租税特別措置法関係通達42の12の5-4  資産の取得価額に算入された給与等

措置法第42条の12の5第3項第4号及び第5号並びに第9号及び第10号の「給与等の支給額」は、当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものが対象になるのであるが、例えば、自己の製造等に係る棚卸資産の取得価額に算入された給与等の額や自己の製作に係るソフトウエアの取得価額に算入された給与等の額について、法人が継続してその給与等を支給した日の属する事業年度の「給与等の支給額」に含めて計算することとしている場合には、その計算を認める。

 

含めないことも出来ますが、該当する会社は雇用者給与等支給額の集計にひと手間必要ですね。

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