【写真業と消費税】アルバム制作に係る簡易課税の業種区分
はじめに
写真館や写真スタジオ方が行うアルバム製作に係る簡易課税の業種区分は何種に該当するのか?国税庁の消費税審理事例検索システムにも事例があるようなので、これを参考に解説してみました。
事業区分 | みなし仕入率 | 該当する事業 |
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第一種事業 | 90% | 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。 |
第二種事業 | 80% | 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)をいいます。 |
第三種事業 | 70% | 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。 |
第四種事業 | 60% | 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。 なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。 |
第五種事業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。 |
第六種事業 | 40% | 不動産業 |
卒業アルバムの制作に係る事業区分
以下、平成12年国税庁消費税課より。
Q:写真館において、小学校等から、ネガの支給を受け又は自ら撮影した写真を基に卒業アルバム等の制作をして引き渡す事業の事業区分は?
A:主として、アルバムの製作(印刷・製本)を行う事業所は、原則として「印刷業(1931)」に分類される。この場合、ネガの支給を受けるか、又は自ら撮影した写真を基にするか、さらに、アルバムの構成等について指示があるか否かによってその取扱いが異なることはない。したがって、写真館において、小学校等からの依頼に基づき卒業アルバムの製作を行った場合の事業は第三種事業〔印刷業(1931)〕に該当することとなる。また、写真館が、アルバム用の写真の撮影等(撮影・現像・レイアウト)のみを自己で行い、印刷・製本を他の事業者に行わせている場合においても、アルバムの製作を請け負ったものであることから、第三種事業に該当することとなる。なお、結婚式・七五三等に際して、写真を撮影し、単に台紙等にはめ込み、記念写真として作成・引き渡す事業は、第五種事業(「一般写真業(7431)」に該当することとなる。
解説
簡易課税の適用事業者にとっては、アルバムの製作が第三種か第五種になるかは大きな問題ですが、アルバムの製作(印刷・製本)は第三種になります。
国税庁のHPでは、写真業は第五種となっていますが、アルバムの製作は印刷業で第三種になると留意事項に記載されています。
我々専門家や消費税法に明るい方は、仕事の性質を考えれば第三種になるだろうと予測はつくのですが、一般の方は、印刷業や写真業の分類の違いで、簡易課税の業種区分にどう影響を与えるかまでは分かりにくいと思いますので、ご注意下さい。
第三種事業
第三種事業は、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定します。なお、次の事業は、第三種事業に該当するものとして取り扱われます。
- 自己の計算において原材料等を購入し、これをあらかじめ指示した条件に従って下請加工させて完成品とする、いわゆる製造問屋
- 自己が請け負った建設工事の全部を下請に施工させる建設工事の元請
- 天然水を採取して瓶詰等して人の飲用に販売する事業
- 新聞・書籍等の発行、出版を行う事業
参考記事
指定獣医師が家畜共済の共済金を受領する場合の消費税の課税関係について
この記事は2020年12月現在の法令等に基づき作成されています。
高木誠