免税事業者がインボイス登録事業者となった場合の経過措置について:令和4年度税制改正大綱より
- 2022.12.17 | 消費税
はじめに
令和4年12月16日に税制改正大綱が発表されました。直前にも報道されていましたが、免税事業者が適格請求書発行事業者(インボイスの登録事業者)となる場合においての経過措置が出来ます。必要に応じて免税事業者が適格請求書発行事業者となる場合には、非常に朗報な改正かと思いますので簡単に解説してみたいと思います。
適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置
令和5年 10 月1日から令和8年9月 30 日までの日の属する各課税期間で、免税事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者(インボイスの登録事業者)となる場合は、課税売上に対する消費税額の2割を納付税額とする経過措置ができました。
必要に迫られて令和5年10月1日からインボイスの登録をする小規模事業者の事務負担を考慮した経過措置かと思われます。原則の方法により計算する場合よりも納税額が少なくなる可能性が高く、事務負担も大幅に軽減されるはずです。
また、注意書きにもありますが、令和5年10月1日より前に課税事業者届出書を提出している方は適用できません。例えば個人で令和5年1月1日から同届出書を提出している場合などです。
税制改正大綱該当部分
① 適格請求書発行事業者の令和5年 10 月1日から令和8年9月 30 日までの日の属する各課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額を、当該課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額とすることにより、納付税額を当該課税標準額に対する消費税額の2割とすることができることとする。
(注1)上記の措置は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間及び令和5年10 月1日前から課税事業者選択届出書の提出により引き続き事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる同日の属する課税期間については、適用しない。
(注2)課税事業者選択届出書を提出したことにより令和5年 10 月1日の属する課税期間から事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる適格請求書発行事業者が、当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出したときは、当該課税期間からその課税事業者選択届出書は効力を失うこととする。
② 適格請求書発行事業者が上記①の適用を受けようとする場合には、確定申告書にその旨を付記するものとする。
③ 上記①の適用を受けた適格請求書発行事業者が、当該適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を認めることとする。
④ その他所要の措置を講ずる。
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この記事は令和4年12月17日現在の法令等に基づき作成しています。
高木誠