特例事業承継税制のデメリットについて考えてみました
特例事業承継税制のデメリットまとめ
特例事業承継税制は、節税のメリットが大きい反面、注意しておかなければいけないデメリットもあります。
正しく適用を受けるためにも理解しておかなければなりません。
- 代表権をグリップできない
- キャッシュポイントが退職金のみ
- 後継者が先に死亡してしまった場合のリスク
- 贈与後の手続きが煩雑
- 税務署に担保の提供が必要(当該非上場株式で可)
- 親族外からの承継、親族外への承継は注意(他の相続人の税額に影響)
代表権をグリップできない
先代経営者の要件として、贈与の時までに代表権を譲らなければいけません。特例の適用のためには最長で2027年12月31日までに贈与しなければならないので、代表権を譲るのはまだ時期尚早という経営者の方もいるかと思います。
キャッシュポイントが退職金のみ
後継者に株式を贈与するため、株主の立場としての財産権、譲渡すれば得られたキャッシュを放棄することになります。退職金は支給可です。
後継者が先に死亡してしまった場合のリスク
後継者の相続人に株式が相続され、リスクが生じる可能性があります。
贈与後の手続きが煩雑
特例の適用を受け、贈与税の免除事由が発生するまで都道府県に報告書、税務署には届出書の提出が必要になります。税務署への提出期限に遅れると認定取消になり贈与税を納めなければいけません。税理士事務所が期限管理するケースもあるかと思いますが、リスクは大きいでしょう。
税務署に担保の提供が必要(当該非上場株式で可)
納税猶予の対象となる非上場株式等を提供できますが、これを嫌がる経営者の方もいらっしゃいます。
親族外への承継は注意(他の相続人の税額に影響)
第三者である親族外の後継者が、贈与者の相続に参加することになります。後継でない他の相続人の税額にも影響してしまいます。心情的にもこれを避けたい方は多いでしょう。
個人的には第三者承継で、この特例を受けるのは相当注意が必要かと思います。
遺留分
その他、他の相続人に対する遺留分の問題があります。特例事業承継税制の適用件数に比して、遺留分に関する民法の特例合意の件数が少ないように思いますが、遺留分、大丈夫なのでしょうか…
特例事業承継税制のデメリットまとめ
特例事業承継税制以外の承継方法(持株会社スキーム)についても記事にしていますので、よければご確認下さい。
高木誠
※この記事は2020年4月現在の法令等に基づき作成しています。