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お知らせ

減価償却方法:200%定率法から定額法へ変更する場合

はじめに

機械及び装置、車両、工具器具、備品などの減価償却資産は、毎期減価償却をして費用化しますが、会計上、その償却方法は基本的に定額法又は定率法を用いて償却をします。税務上でも定額法と定率法のいずれかの方法を選定して償却を行います。

 

 

会計上と税務上の償却方法や償却額を合わせる必要はないですが、中小企業は基本的に税務上で選定した方法で計算した償却限度額で目一杯償却を行うことが多いです。
もし償却方法を選定しなかった場合、定額法と定率法を選択できる資産は定率法(個人は定額法)を選定したものとみなされます。建物や付属設備、構築物などは最初から定額法しかできないため、選定する必要はありません。この選定した減価償却方法ですが、途中で変更することができます。

 

IFRS(国際会計基準)を適用しているほとんどの企業が「定額法」を採用しているとの記事をしばしば見かけます。定率法から定額法に変更する企業は増えているとのことです。
節税効果よりも、目先の利益を増やしたいという意向によるものなのかもしれません。
また、設備投資の手控えも要因ではないでしょうか。

 

定率法の特徴は初期に償却できる額が大きく、成長期の企業は巨額の設備投資を行い投資初期にまとまった額の償却が行うことで、税務メリットを享受できます。償却額が大きければ、それだけ手許に残るキャッシュも大きいのでそれを次の設備投資資金にまわします。

 

定率法は一定の率を償却後の簿価に毎年乗じるので、年々償却額が小さくなり、途中からは定額法(毎年定額で償却)の償却額の方が大きくなり逆転します。以前は定率法も250%定率法といって投資した初期に減価償却を今よりも大きく計上することができましたが、今は200%定率法になって償却額はその頃と比べると少なくなりました。

 

これらの理由から、会計上も税務上も定率法のうま味は少なくなってきています。

200%定率法から定額法に変更する場合の注意点

償却方法の変更をした場合、変更後の計算方法は税務上でも注意が必要です。
初期は定率法を選定して途中から定額法の償却額が逆転する時に定額法に変えればいいのでは?と思ってしまいますが、変更時の計算体系は多少複雑でそのような恣意性は排除された仕組みになっています。

 

詳しくは法人税法基本通達の7-4-4に詳しく記載されています。

 

例)10,000,000円の機械を購入:耐用年数10年、5年間は定率法(償却率0.200)、6年目以降定額法に変更した場合

 

5年経過後の帳簿価額は3,276,800円になります。
ここで定額法に変更する場合、取得価額は帳簿価額である3,276,800円とみなして定額法で計算していきます。
つまり、10,000,000円×償却率ではなく、3,276,800円×償却率で計算していきますので償却額は必然と小さくなります。

 

耐用年数は10年を採用してもいいですが、経過年数を考慮した分を差し引いて耐用年数を計算してもいいです。
経過年数の出し方は未償却残高表の割合を見て出しますが、今回の場合、経過年数は6年となります。

当初の耐用年数10年-経過年数6年=残存耐用年数4年(定額法償却率0.250)で償却を行うか、当初の耐用年数10年(定額法償却率0.100)で償却を行うか選べます。もちろん4年で償却した方がいいのはいうまでもないでしょう。

TKCのシステムで200%定率法から定額法に変更するのは非常に大変

ここまではいいのですが、この200%定率法から定額法の変更をTKCの減価償却システムで行う場合、システムが自動計算してくれません(平成30年10月時点)。

 

理由は「200%定率法の減価償却資産は通達改正が未だに行われていないから」ということです。
定率法は、時代と共に旧定率法⇒250%定率法⇒200%定率法と変遷がありましたが、200%定率法に改正となった平成23年度税制改正以降、通達の改正がないからとうのが理由です。

 

つまり、200%定率法ができてから、償却方法の変更については国税庁が計算方法を示していないという見解です。それ以前の通達(上記7-4-4)で判断して何ら問題ないと私は思いますが(私の見解は長くなるので割愛します)、旧定率法から定率法になった変遷を考えればそう読んでいいはずです。

 

TKCのシステムでは、この200%定率法から定額法への変更だけ自動計算してくれないため、ベタ打ちで、変更した全ての資産について次の操作を行わなければいけません。

 

  1. 償却方法を変更
  2. 償却の基礎となる金額の変更
  3. 経過年数を未償却残高表に当てはめて計算
  4. 残像耐用年数の変更

 

たくさん資産がある場合、これはかなりしんどいですし、ミスにも繋がります。
定額法に変更する企業は増えるかもしれないので、このようなケースにはご注意下さい。


高木誠

※この記事は平成30年10月現在の法令等に基づき作成しています。