設立1期目の落とし穴——決算期と青色申告の申請漏れをリカバリーした実例
相談内容——申告期限直前の駆け込み
設立1期目の会社が、税務申告の依頼で当事務所にいらっしゃいました。定款などを確認すると、設立はX1年9月、決算期はX2年3月。ご相談にいらしたのは決算月を過ぎたX2年4月で、さらに青色申告の承認申請も行っていないという状況でした。
決算期をなんとなく設定し、青色申告のこともよく分からずに申請を失念してしまう—こうした事例はときどきあります。
青色申告の申請期限——なぜ問題になるのか
青色申告の承認申請期限は、次のいずれか早い日の前日までです。
・設立の日以後3ヶ月を経過した日
・当該事業年度終了の日
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm
まず、設立初年度に青色申告を行うことはできません。さらに2年目の青色申告の申請期限は「事業年度開始の日の前日まで」、つまりX2年3月31日となります。今回はそれも過ぎていました。
青色申告ができないと何が困るのか——欠損金の繰越控除
青色申告の優遇制度のひとつに「欠損金の繰越控除」があります。欠損金とは赤字のことで、最大10年間繰り越すことができ、将来の黒字と相殺して法人税を軽減できる制度です。
設立初年度は設備投資などで赤字になりやすいのですが、今回のケースでは1年目の赤字を2年目以降に繰り越すことができず、かつ2年目も青色申告ができないという状況になっていました。
リカバリー①——決算期を変更して青色申告を復活させる
もう少し早めにご相談いただければ——とはいえ、ここで終わらせてはいけません。税理士として、できる限りリカバリーします。
設立1期目の申告期限は5月末です。幸いまだ申告期限前でしたので、決算期を3月から6月に変更していただきました。6月にした理由は事業内容などを考慮してのことですが、ここでは割愛します。念のため税務署にも確認しながら青色申告の承認申請を6月30日までに提出し、2期目から青色申告が可能になりました。
リカバリー②——1期目の赤字をできる限り圧縮する
しかし、まだ終わりではありません。次のタスクは、1期目の赤字をできる限り圧縮し、繰り越せない欠損金を減らすことです。
具体的なテクニックは省きますが、創立費・開業費といった繰延資産に集約できる経費をまとめ、1期目は繰延資産の減価償却を行わないなど、制度の範囲内でなるべく赤字を抑え、経費を2期目以降に持ち越す処理を行いました。これにより1期目のダメージを最低限に抑えることができ、お客様にも喜んでいただけました。
まとめ——設立直後こそ、早めの相談を
今回のケースで伝えたいことは一つです。会社を設立したら、できるだけ早く税理士に相談された方がいいです。
決算期の設定や青色申告の申請は、後から取り返しのつかない場合があります。今回は申告期限前という幸運もあり、決算期変更と赤字圧縮という二段構えのリカバリーができましたが、タイミングがずれていればさらにダメージが広がるケースでした。設立直後のご相談は、当事務所では随時受け付けています。お気軽にお問合せ下さい。