【天草市・令和7年8月豪雨】被災した事業者が使える税金支援策3選
はじめに
この度の令和7年8月の天草地方における豪雨災害により、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。今なお不自由な生活を強いられている方も多くいらっしゃることと存じます。皆様の安全と、一日も早い復旧・復興を心からお祈り申し上げます。
昨日、税務署との協議会で議題に上がりましたが、被災された方のための税制優遇である「雑損控除」は、今後税務署や市町村からも周知がされるそうです。
雑損控除については私が過去の記事を参照されて下さい。
しかし、事業者向けの下記支援制度は周知されないの可能性があって無駄な課税が出ないか心配してます。 特に大事なのは下記3つです。
以上、3つの大切な制度について、簡単に解説します。
1. 申告や納税が期限に間に合わない!「災害等による期限の延長」
災害により、帳簿書類が流されてしまったり、ライフラインの遮断によりとても申告の準備ができる状況ではない場合に申告や納税、各種届出などが期限までにできなくなった方が対象です。地域指定による延長と個別指定による延長がありますが、令和7年9月19日現在地域指定の延長は公表されていません。この場合の個別指定の延長申請の手続きが必要です。事業年度終了の日の翌日から45日以内に、その決算が確定しない理由等を記載した申請書を所轄の税務署長に提出する必要があるので、税務署や顧問税理士にご相談下さい。
2. 事業用の資産で保険金を受け取ったら「保険差益の圧縮記帳」で再建資金を守る方法
事業で使っていた建物、機械、車両などが被災し、損害保険会社から保険金を受け取った事業者様(法人・個人事業主)向けの制度です。
かなり簡略して説明します。災害で、機械や車などの固定資産がダメになります。保険金が入ります。代わりの固定資産を買います。 この場合、多額の保険差益(保険金の収入-滅失した固定資産の帳簿価額)が計上されることがありますが、代わりの固定資産を買ってもは減価償却で費用化するので、すぐには経費化出来ません。 この保険差益に対して課税を繰り延べる制度です。この制度を圧縮記帳といいます。
3. 修繕が終わっていなくても経費にできる「災害損失特別勘定」
保険金が先に入ります。R7年の決算を迎えます。修繕は決算日以降です。決算日までに保険金を修繕費とぶつけることが出来ず多大に課税されてしまいます。これを防ぐために見積で修繕費などを前倒しで経費にできる制度です。災害があった年の税負担を軽減し、手元に資金を残しやすくなります。
まとめ
今回は、天草で豪雨災害に遭われた事業者が利用できる税の税金支援策のうち、3つの制度をご紹介しました。
- 災害等による期限の延長:期限までに申告や納税が困難な場合の期限延長制度
- 保険差益の圧縮記帳:受け取った保険金への課税を繰り延べ、再建資金を確保できます。
- 災害損失特別勘定:将来の修繕費を前倒しで経費にし、当面の税負担を軽くできます。
これらの制度は、皆様の状況に応じて適用できるかどうかが異なります。また、適用を受けるためには一定の要件や手続きが必要な場合があります。ご自身の状況でどの制度が利用できるのか、具体的な手続きはどうすればよいのか、ご不安な点やご不明な点がございましたら、税務署やお近くの税理士にご相談ください。
もちろん、当事務所でも皆様からのご相談を随時受け付けております。お気軽にお声がけください。 被災された皆様が一日でも早く平穏な日常を取り戻されることを、心より願っております。

高木誠税理士事務所
所在地: 〒861-7314 熊本県天草市有明町大島子2380-1 2F
電話番号: 080-5155-3886