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佐賀県:令和元年8月の集中豪雨に伴う雑損控除について

はじめに

九州では、令和元年8月の集中豪雨により、雑損控除の対象となる人が増えています。

特に佐賀県では浸水の被害件数が多いですが、これらの方も適用を受けることができます。

 

 

雑損控除を適用するには確定申告等を要し、手間もかかりますので、どうしても放置してしまいがちですが、被害の状況や元々の納税額によっては、所得税や住民税が多額に還付されることもあります。今回は雑損控除について、詳しくまとめておりますので、ご参考になれば幸いです。

雑損控除

雑損控除とは、自然災害や火災、盗難、横領などによって、自宅や家財、車両などについて損失を受けた人が受けられる控除制度で、所定の金額を所得から控除する結果、個人の所得税や住民税が安くなる制度です。

 

 

対象となる資産

「棚卸資産若しくは事業用固定資産等」又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であることと規定されています。

棚卸資産

個人事業主が所有している商品と考えてもらえばいいです。個人事業主なら棚卸資産について損害を受けた場合、事業所得の計算上で原則損失を計上できるので、雑損控除の対象外です。

生活に通常必要でない資産

例えば、別荘など趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます。)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個又は1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産と規定されています。

上記以外の資産が対象

上記に該当しない資産について、雑損控除が適用できるので、自宅や車、家財、現金などが控除の対象となります。

 

※賃貸マンションを持っている方は、賃貸マンションについても適用を受けることができる場合もあります。所定の要件があるので、専門家にお尋ねください。

対象者

納税者(本人)はもとより、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)の者の資産も適用可能です。例えば妻B名義の自宅について、夫Aが雑損控除を受ける場合は、妻Bの所得がある程度低い方でないと適用不可です。妻Bの所得がパート収入だけなら103万円以下(令和2年分以降は113万円以下)の場合でないと適用できません。

損害の原因

次のいずれかの場合に適用できます。

 

    • 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
    • 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
    • 害虫などの生物による異常な災害
    • 盗難
    • 横領

詐欺は適用できず

詐欺や恐喝は適用が受けられません。

従ってオレオレ詐欺やぼったくりバーもダメです。ちょっと可哀そうですね。

雑損控除の金額

雑損控除の金額の算出方法ですが、現金の盗難であれば盗まれた金額がある程度分かるかもしれません。住宅や家財の損害額を算出するのは困難なので、簡便的に計算する方法を国税庁が示しています。この点は専門家や税務署にお尋ね下さい。ここでは割愛させて頂きます。

 

なお、損害保険で補填される金額がある場合はこれを損害額から差し引きます。保険で補填される分は控除できませんということです。

 

私は熊本地震で雑損控除を多く経験してきましたが、不動産の場合は不動産鑑定士と連携して鑑定評価を使うこともあります。当然費用がかかりますので、還付額が大きい場合でないと基本的にはやりません。

罹災証明を取得しましょう

住宅に被害を受けた場合は、雑損控除を受けるために、被害を受けたことを証明する書類として市役所等の自治体から罹災証明書を取得しましょう。

 

罹災証明とは、災害の被害に遭われた方(罹災者)の申請によって、お住まいの家屋の被害状況の調査を行い、その被害状況に応じて「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」、「床上又は床下浸水」等を認定し、これを証明するものです。

 

罹災証明書の取得は原則災害から6か月以内ですが、令和元年台風15号および台風19号の申請期限は令和2年12月28日まで延長しています。お住まいの自治体にご確認下さい。

 

なお、不動産などの場合、購入時の契約書も必要です(見つからない場合も適用できる術はあります)。

 

 

いつまでに手続きをすればいいのか?

令和元年分の確定申告期限は令和2年4月16日までです(コロナの影響による特別措置でさらに4/17以降も受付をしています)が、この期限に遅れても大丈夫です。年末調整をしている、かつ、確定申告が必要ないサラリーマンの方なら、還付申告といって令和6年12月末まで申告できます。

また、既に確定申告をしている方は、更正の請求といって、令和7年4月16日まで適用可能です。お忘れのないように。

まとめ

  • 令和元年の集中豪雨により被害を受けた方は雑損控除の適用を検討しましょう
  • 特に佐賀県で浸水の被害を受けた方はお忘れなく
  • 雑損控除は自宅や家財、車、現金などについては受けられる
  • 被害の原因は災害、盗難、横領など
  • 雑損控除の適用を受けるために罹災証明書を取得しましょう

高木 誠

この記事は令和2年4月現在の法令等に基づき作成されています。